社長挨拶

燃える氷とも呼ばれるメタンハイドレートは、日本の周辺海域にも相当量の賦存が見込まれ注目を浴びています。2023年4月に公表されました「海洋基本計画」には、国が2030年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指して技術開発を行うことが明記されています。

2020年10月に「カーボンニュートラル宣言」が発表された直後には、脱炭素化の流れの中でメタンハイドレートの開発・利用は強い逆風を受けることとなりましたが、昨今のLNG供給不安に伴う電力需給の逼迫や電力価格の高騰、さらにはロシアによるウクライナへの軍事侵攻を発端とする世界的なLNG価格の高騰などの不安定な国際情勢の中で、海外からLNGをお金で買えない日が来る日に備えて技術の開発を進め、国内にある天然ガスの安定供給源としてのメタンハイドレートから安定したガス生産を継続する技術を確立して、商業化を実現することが期待されています。

2019年4月より、経済産業省によるメタンハイドレートの研究開発事業が、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、国立研究開発法人産業技術総合研究所および当社が組成する「MH21-S研究開発コンソーシアム」(MH21-S)に委託され実施されています。

MH21-Sでは、三次元地震探査および事前調査井の結果を基に志摩半島沖に有望濃集帯があることを確認しました。そこで、当社が本海域において試掘権鉱区を取得し、2023年度には本海域の2地点において試掘・簡易生産実験を実施し、次フェーズ海洋産出試験の候補地選定のための貴重なデータを取得する計画です。

さらにMH21-Sでは、安定したガス生産のために、減圧法によるメタンハイドレートの分解においては避けて通ることのできない出砂や出水への対応策や、効果的な坑井配置や減圧方法の最適化など、さまざまな技術課題についての取り組みも行われております。

経済産業省のご指導のもと、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、国立研究開発法人産業技術総合研究所、ならびに株主各社との連携を図りながら、メタンハイドレートの商業化に向けて安全確実な技術の開発を実現し、2030年度までに米国シェール革命に続く日本のメタンハイドレード革命を起こすべく、全力を挙げて取り組んでまいります。

当社事業への一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

日本メタンハイドレート調査株式会社

社  長   脇嶋 良平