社長挨拶

日本の周辺海域には相当量のメタンハイドレートの賦存が見込まれています。メタンハイドレートは燃える氷とも呼ばれ、天然ガス(メタン)が水分子と結びついて海底下の未固結砂岩層に氷のような状態で存在していますが、その商業生産に成功した事例はありません。あるとわかっているのに活用できない豊富な資源は、かつてのシェールガス・シェールオイルを彷彿させます。天然ガス資源のほとんどを輸入に頼っている我が国において、国産資源の開発はまさに夢であり、実現すべき課題です。

2019年4月より当社は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、国立研究開発法人産業技術総合研究所とともに「MH21-S研究開発コンソーシアム」(MH21-S)を組成し、経済産業省によるメタンハイドレートの研究開発事業を受託しています。MH21-Sは、三次元地震探査および事前調査井の結果を基に志摩半島沖に有望濃集帯があることを確認し、2023年度には本海域の2地点において試掘・簡易生産実験を実施しました。当社はこの中で、本海域における試掘鉱区の取得、掘削、簡易生産実験のオペレーションを担当しております。簡易生産実験ではさまざまなトラブルに遭遇し、当初予定した作業を完遂することができませんでしたが、次につながる課題を整理し、来るべき長期海洋産出試験に向けた準備を開始したところであります。

天然ガス資源の開発に対しては、安定供給、経済効率性、環境適合、安全性(3E+S)の観点からさまざまな世論があり、その時々の情勢に応じて変化しています。「2050年カーボンニュートラル宣言」が発表された直後には、脱炭素化の流れの中で強い逆風を受けることとなり、メタンハイドレート開発もまたその煽りを受けました。一方で、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ軍事侵攻に端を発するヨーロッパを中心としたエネルギー不足とLNG価格の急騰は、国内で生産可能な天然ガスの重要性を再認識させました。

2023年4月に公表された「海洋基本計画」には、国が2030年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指して技術開発を行うことが明記されています。国際情勢の影響を受けにくい天然ガス供給源としてのメタンハイドレートから安定したガス生産を継続する技術を確立し、商業化を実現することが期待されています。

当社は経済産業省のご指導のもと、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、国立研究開発法人産業技術総合研究所、ならびに株主各社との連携を図りながら、メタンハイドレートの商業化に向けて安全確実な技術の開発を実現し、2030年度までに米国シェール革命に続く日本のメタンハイドレード革命を起こすべく、全力を挙げて取り組んでまいります。

当社事業への一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

日本メタンハイドレート調査株式会社

社  長   手塚 和彦